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プログラミング教育が小学校で必修化され、お子さんにプログラミングを学ばせたいと考える保護者の方が増えています。「でも、何から始めたらいいの?」「プログラミングって難しそう…」「親がまったくわからないけど、子どもに教えられない・・・」そんな不安をお持ちではありませんか?
そこでおすすめしたいのが、Scratch(スクラッチ)です。Scratchは、専門的な知識がなくても、まるでレゴブロックを組み立てるような感覚で、楽しくプログラミングの基礎を学べる画期的なツールです。
この記事では、「Scratchがどのようなツールなのか」「Scratchを使うメリット」「Scratchをはじめる手順・注意点」「Scratchをカリキュラムに取り入れているプログラミングスクール」を初心者の方にも分かりやすく、徹底的に解説していきます。この記事を読めば、Scratchの魅力と始め方が分かり、お子さんと一緒にプログラミングの世界への第一歩を踏み出すことができるはずです。
筆者はまったくのプログラミング素人から、子どもといっしょにScratchでプログラミングをはじめました。
Scratchってなに?
まず、Scratchがどのようなものなのか、基本的な情報から見ていきましょう。
Scratchの概要
Scratchは、アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボによって開発された、主に8歳から16歳の子どもたちを対象とした無料のプログラミング学習環境です。ウェブサイトにアクセスするか、アプリをダウンロードすれば、誰でもすぐに使い始めることができます。
プログラミングというと、英語のような難しいコード(命令文)をキーボードで打ち込んでいくイメージがあるけど、Scratchは違います。
Scratchの最大の特徴は、ビジュアルプログラミング言語であるという点です。

Scratchでは、あらかじめ用意された「ブロック」と呼ばれる命令の塊を、マウス操作でドラッグ&ドロップし、つなぎ合わせていくだけでプログラムを作成できます。
例えば、「前に10歩動かす」「90度回す」「『こんにちは!』と言う」といった命令が、色分けされた分かりやすいブロックになっています。これらのブロックを論理的に組み合わせることで、キャラクター(スプライトと呼ばれます)を動かしたり、音を出したり、背景を変えたりと、様々な動作をさせることが可能です。
Scratchでできること
Scratchを使えば、子どもたちの自由な発想を形にすることができます。具体的には、以下のような作品を作ることが可能です。
- 物語: 登場人物が会話したり、クリックに反応してストーリーが進んだりする。
- アニメーション: キャラクターが動いたり、踊ったり、変身したりする、短いアニメーション。
- ゲーム: シューティングゲーム、迷路ゲーム、追いかけっこゲームなど、ルールを考えて作るオリジナルゲーム。
- 音楽・アート: 楽器の音を組み合わせて作曲したり、図形を繰り返し描画して美しい模様を作ったりする作品。
- シミュレーション: 簡単な物理法則を再現したり、社会の仕組みをモデル化したりする、学習的な作品。
Scratchのウェブサイトには、世界中のユーザーが作成した数千万ものプロジェクトが共有されており、他の人の作品を参考にしたり、自分の作品をリミックス(改造)したりすることも可能です。
Scratchのメリット
ここからが、小学生がプログラミング学習にScratchを使うことに、どのようなメリットがあるか?主な利点を詳しく見ていきましょう。
直感的で分かりやすいビジュアルプログラミング
Scratchはブロックを組み合わせるビジュアルプログラミング言語を採用しています。難しいコードを覚える必要がなく、マウス操作が中心なので、キーボード入力に慣れていない小学生でも抵抗なく始められます。
ブロックの色や形が機能ごとに整理されており、視覚的に理解しやすいのも大きなポイントです。
「もし~なら」「~まで繰り返す」といったプログラミング特有の、制御構文も、パズルのピースをはめ込むような感覚で自然に学ぶことができます。

プログラミング的思考力の育成
プログラミング的思考とは、「物事を順序立てて考え」、「効率的に問題を解決するための思考力」のことです。Scratchで作品を作る過程は、まさにプログラミング的思考を鍛えるトレーニングになります。
プログラミングにおける重要な要素
- 分解: 目標とする動きを実現するために、どのような命令が必要かを細かく分解して考える。
- 順序: 命令をどの順番で組み合わせれば意図した通りに動くかを考える(シーケンス)。
- パターン化: 同じ動作を繰り返す場合に、「繰り返し」ブロックを使って効率化する(ループ)。
- 条件分岐: 特定の条件(例:壁にぶつかったら、スコアが10点になったら)に応じて動作を変える(条件分岐)。
- 抽象化: 複雑な動きを一つのまとまり(カスタムブロック)として定義する。
- デバッグ: うまく動かないときに、どこに問題があるかを見つけ出し、修正する。
これらの思考プロセスを、ゲームやアニメーションを作るという楽しい活動の中で、無理なく自然に身につけることができます。
子どもの自由な表現力と想像性を向上させる
Scratchは、単純なつくりながら自由度が高く、子どもの作りたいものを形にすることができます。キャラクターのデザイン、背景の選択、ストーリーの考案、動きや音の演出など、あらゆる要素を自分で決めることができるからです。
「こんなゲームがあったら面白いな」「こんな物語を作ってみたいな」という想像力を、プログラミングという手段を使って形にする経験は、子どもたちの創造性を大いに高めてくれます。
やり直しが簡単

プログラミングにエラーはつきものです。Scratchでも、ブロックの組み合わせ方を間違えたり、予期せぬ動きをしたりすることはよくあります。
この「うまくいかない」経験こそが学びのチャンスです。「なぜ思った通りに動かないんだろう?」と考え、原因を探り、ブロックを修正していく過程で、粘り強く試行錯誤する力や、論理的に問題を解決する能力が養われます。
Scratchの特徴は、すぐに結果が目に見えることです。結果が見えやすいScratchはトライ&エラーを繰り返しやすい環境なのです。
プログラミングの基礎が理解できる

Scratchは遊び感覚でプログラミングが行えますが、コンピューターサイエンスの重要な概念を基礎としています。
イベント(例:「旗がクリックされたとき」)、シーケンス(順次実行)、ループ(繰り返し)、条件分岐(もし~なら)、変数(スコアやライフなど)、座標(キャラクターの位置)といった基本的な概念を、ブロックを操作する中で体験的に理解することができます。
Scratchは、将来的にテキストベースの本格的なプログラミング言語を学ぶ際、重要な土台となります。
無料で手軽に始められる
Scratchは完全に無料で利用できます。特別なソフトウェアを購入する必要はなく、インターネット環境とパソコン(またはタブレット)があれば、公式サイトにアクセスするだけで始められます。
オフラインでのエディター(プログラミングをするエリア)も用意されているため、インターネット接続が不安定な環境でも利用可能です。この手軽さが、家庭学習や学校教育で広く普及している理由の一つです。

Scratchは寄付で運営されているので、すべてのコンテンツが無料で使えるんです!
Scratchを通したコミュニティができる

Scratchのウェブサイトには活発なオンラインコミュニティがあり、世界中のユーザーが自分の作品を公開し、互いにコメントを送ったり、気に入った作品を「リミックス」して改造したりすることができます。
自分の作品を発表する経験をしたり、他の人の作品を見たり改造したりすることで、新たな学びや改善のきっかけになります。
Scratchの始め方・手順
Scratchの魅力が分かったところで、実際にどのように始めればよいか、具体的な手順を見ていきましょう。
Scratch公式サイトへアクセスしよう
まず、ウェブブラウザを開き、Scratchの公式サイト(https://scratch.mit.edu/ ))にアクセスします。トップページが表示されたら、すぐに作品作りを始めることも可能です。
アカウントを作成のやりかた
Scratchはアカウントを作成しなくても利用できますが、作成することをおすすめします。

①アカウントを作成するには、トップページ上部にある「Scratchに参加しよう」をクリックします。

②好きなユーザー名とパスワードを入力します。注意点として、本名や個人が特定できるようなユーザー名は避けるようにしましょう。

③リストから日本(Japan)を選びます。

④お子さんの生まれた月と年を選びます。

⑤性別を選びます(答えないという選択肢もあります)。

⑦保護者の方のメールアドレスを入力します。



入力した保護者のアドレスにメールが届くので、メール内のリンク(英語で書かれていることがあります)」を押して認証します。これでアカウント作成は完了です。
次回からは、設定したユーザー名とパスワードでサインインできます。

Scratchエディターの画面構成
アカウントを作成(またはサインイン)したら、画面左上の「作る」をクリックすると、プロジェクトを作成するためのエディター画面が開きます。主な画面構成を理解しておきましょう。

画面上の重要なエリアを下の図に表しました。

- ① ステージ: プログラムの実行結果が表示される場所。緑の旗で「プログラムをスタート」、赤い八角形で「プログラムをストップ」させます。
- ② スプライトリスト: プロジェクトで使用しているキャラクターやオブジェクト(スプライト)の一覧が表示されます。新しいスプライトを追加したり、選択したスプライトの設定を変更したりできます。
- ③ ブロックパレット: プログラムを作成するための様々なブロックがカテゴリー別に分類されています(動き、見た目、音、イベント、制御、調べる、演算、変数、ブロック定義)。ここから使いたいブロックをドラッグします。
- ④ スクリプトエリア: ブロックパレットからドラッグしてきたブロックを組み立てて、プログラム(スクリプト)を作成する場所です。

エリアの名前は覚える必要はないけれど、それぞれのエリアの役割はしっかりとおさえておきましょう。
基本的な操作 - ネコを動かしてみよう
Scratchの基本的な操作に慣れるために、最初からステージにいるネコのキャラクター(デフォルトのスプライト)を動かしてみましょう。
①ブロックパレットの「イベント」カテゴリー(黄色)から、「緑の旗が押されたとき」ブロックをスクリプトエリアにドラッグ&ドロップします。これがプログラムの開始点になります。


②次に、「動き」カテゴリー(青色)から、「10歩動かす」ブロックを選び、先ほどの「緑の旗が押されたとき」ブロックの下にくっつけます。(ブロック同士が近づくと、接続できる部分が白くハイライトされます)


③ ステージの上にある緑の旗ボタンをクリックしてみましょう。ネコが右に少し動けば成功です!



少し動いたのはいいけど、もっとたくさん動かしたいときは・・・?
④「制御」カテゴリー(オレンジ色)にある「ずっと」ブロックを使ってみましょう。「ずっと」ブロックで「10歩動かす」ブロックを囲むように配置します。



「ずっと」ブロックを使うと、ネコが動けなくなっても「くりかえし動く」ことを続けてしまいます。
⑤「動き」カテゴリーにある「もし端に着いたら、跳ね返る」ブロックを、「ずっと」ブロックの中の「10歩動かす」ブロックの下に追加します。

⑥もう一度、緑の旗をクリックしてみてください。ネコが左右を行ったり来たりしたら成功です。

このように、Scratchではブロックを組み合わせるだけで、簡単にキャラクターを動かすプログラムが作れます。まずは色々なブロックを試してみて、どんな動きをするのか実験してみるのがおすすめです。
プロジェクトの保存と共有
Scratchでは作成したプロジェクトを保存することができます。
オンライン保存(アカウント作成済みの場合): エディター画面上部のファイルメニューから「直ちに保存」をクリックすると、自分のアカウントにプロジェクトが保存されます。

ローカル保存: ファイルメニューの「コンピューターに保存する」を選ぶと、プロジェクトファイル(.sb3形式)を自分のパソコンにダウンロードできます。


アカウントがあれば、プロジェクトを「共有」することもできます。共有されたプロジェクトは、他のScratchユーザーが見たり、遊んだり、リミックスしたりできるようになります。
Scratchの注意点
Scratchは非常に優れたツールですが、利用する上でいくつか注意しておきたい点があります。保護者の方がお子さんと一緒に使う際には、以下の点を念頭に置いておきましょう。
オンラインコミュニティでの安全性に注意する
Scratchのオンラインコミュニティは学びの場として有益ですが、インターネット上の他の場所と同様に、注意が必要です。
Scratchはコミュニティガイドラインを設けて、安全な環境維持に努めていますが、最終的には利用者一人ひとりの意識が重要です。
テキストプログラミングへの移行が難しい

Scratchはプログラミングの入門として最適ですが、あくまでビジュアルプログラミング言語です。将来的に、より複雑なシステム開発や専門的な分野に進むためには、PythonやJavaScriptといったテキストベースのプログラミング言語を学ぶ必要が出てきます。
PythonやJavaScriptを始める際にもScratchで培った論理的思考力は必ず役立ちますが、Scratchのスキルがそのままテキストプログラミング言語に置き換わるわけではありません。
Scratchはあくまで「基礎固め」と「楽しさを知る」ためのステップと捉えるのが良いでしょう。
「リミックス」と「オリジナリティ」のバランスが難しい
他の人のプロジェクトをリミックス(改造)することは、Scratchの推奨する学び方の一つであり、素晴らしい機能だと思います。
しかし、リミックスばかりに頼ってしまうと、自分でゼロからアイデアを考え、形にする力が育ちにくくなる可能性もあります。
他の作品から学ぶことと、自分のオリジナルのアイデアで作品を作ることを、バランス良く経験できると理想的です。
「遊び」と「学び」のバランスが難しい
Scratchはゲームを作ることもできるため、「遊んでいるだけ」になってしまうのではないかと心配されるかもしれません。
もちろん、楽しむことは非常に重要ですが、時折、「どうしてこう動くんだろう?」「もっとこうするにはどうすればいい?」といった問いかけをしたり、新しいブロックや機能を試すよう促したりすることで、「遊び」の中に「学び」の要素を意識的に取り入れていくと、より効果的な学習につながります。
Scratchとプログラミングスクールの関係性
プログラミングスクールでもScratchを使っている

Scratchは、小学生用のプログラミングスクールでも多く用いられています。Scratchは操作が簡単かつ日本語表記なので、小学生でも簡単に取り組むことができる。タイピングスキルや英語が習得していない小学生でも、十分プログラミングの基礎が学べるよいツールである。
Scratchを採用しているプログラミングスクール
Scratchを教材として採用している小学生向けプログラミングスクールをいくつか紹介します。どのスクールも全国的に展開されている大手ですが、Scratchを教材のひとつとして採用しています。
QUREO(キュレオ)プログラミング教室 | 国内最多の教室数。 |
Tech Kids School (テックキッズスクール) | 主要都市に教室を展開。オンライン校で全国をカバー |
スタープログラミングスクール(STAR Programming SCHOOL) | 全国に多数の教室を展開。 |
デジタネ(Digitane) | オンライン講座が全国どこでも受講可能。 |
LITALICOワンダー (リタリコワンダー) | 教室は首都圏中心。オンラインコースにより全国からアクセス可能。 |
まとめ
この記事では、小学生におすすめのプログラミングツール「Scratch」について、その概要からメリット、始め方、実践例、注意点、そしてScratchを導入しているプログラミングスクールに至るまで、幅広く解説してきました。
Scratchは、専門知識不要で、ブロックを組み合わせるだけで、ゲームやアニメーションを楽しく作りながら、プログラミング的思考や創造力を自然に育むことができる、無料の画期的なツールです。
オンラインコミュニティでの注意点など気をつけるべき点もありますが、保護者の方が見守り、一緒に学ぶことで子どものプログラミング思考力が大きく向上する可能性を秘めています。
プログラミングは、これからの時代を生きる子どもたちにとって、自分の考えを形にし、問題を解決するための強力な武器となります。Scratchは、その第一歩を踏み出すための最高の入り口です。