2020年、小学校でプログラミング教育が必修化されました。
「プログラミング教育がはじまるらしいけど、子どもになにかやらせたほうがいいの?」
「プログラミング教室のいいところってなに?」
そう思っている保護者の方は多くいらっしゃるかと思います。
この記事では、小学生の息子とともに、プログラミングをイチから学習し始め、現在もプログラミング教室に通塾中の筆者が、小学生がプログラミング教室に通うことのメリットとデメリットをあげていきます。
この記事を読めば、以下のことがわかります。
この記事の主旨
プログラミングスキルを修得することの重要性
プログラミング教室に通うメリット6つ
プログラミング教室のデメリット4つ
プログラミングスキルを修得することの重要性
プログラミングスキルへの関心が高まっている
近年、子ども向けのプログラミング教育に対する関心が急速に高まっています。背景には、社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展と、それに伴うIT人材の需要増加があります。

これだけIT機器が生活にあふれていると、ITの技術をもった人材の育成が重要になるのは当然の流れでしょう。
政府が推進する「Society 5.0」という未来社会の構想では、AIやIoTなどの先端技術が社会基盤となり、これらの技術を理解し活用できる人材が不可欠とされています。
<情報通信業と全産業平均の平均給与額>
年 | IT産業(情報通信業) | 全産業の平均 |
---|---|---|
2021 (R3) | 37万3500円 | 32万3300円 |
2022 (R4) | 37万8800円 | 31万1800円 |
2023 (R5) | 43万8900円 | 33万8200円 |
※厚生労働省「賃金構造基本統計調査」から作成。「所定内給与額」を使用。

ここ数年、IT産業の従業員の給与は、平均よりも高くなっていく傾向にあるようです!
このような社会的な変化を受け、将来子どもたちが活躍するためには、プログラミングスキルやITリテラシーが必須であるという認識が保護者の間で広がっています。
習い事としてもプログラミング教室の人気は上昇しており、多くのプログラミング教室が開設されています。

子どもに「プログラミングを学んでほしい」という保護者のニーズが高まっているということですね。
最近では、GIGAスクール構想により一人一台端末の整備が進んだことで、家庭でのプログラミング学習へ関心もさらに高まりました。
子どもたちがデジタルデバイスに触れる機会が増え、より身近なものとして捉えられるようになった結果、プログラミングを学ばせたいと考える保護者が増えていると考えられます。
小学校の教育だけでは、プログラミングスキルは身につかない

2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されました。子どもたちが将来どのような職業に就くとしても求められる、「プログラミング的思考」を育成することを主な目的としています。
しかし、注意すべき点として、小学校の必修化はプログラミング言語の記述方法(コーディング)を学ぶことや、特定のスキルを習得すること自体を目的としているわけではありません。
あくまで、物事を順序立てて考え、試行錯誤しながら問題を解決していく「プログラミング的思考」の育成に重点が置かれています。そのため、プログラミング自体を学ぶ時間はほとんどなく、各教科の中で体験的に学んだり、内容に触れる程度にとどまることが多いのが現状です。
指導する教員のITスキルや知識、経験にもばらつきがあるという課題も指摘されています。専門的な知識を持つ教員が不足している場合、プログラミング的思考の本質を深く掘り下げた指導を行うことが難しいケースもあります。
これらの理由から、小学校の授業だけで、将来的に役立つような実践的なプログラミングスキルや、より高度な論理的思考力を十分に身につけることは難しいと言わざるを得ません。

小学校でプログラミング教育のねらいは「論理的な考え方」であり、体系的にプログラミングを学びたい、実践的なスキルを習得させたいと考えるのであれば、学校外で学ぶしかありません。
小学生がプログラミング教室に通うメリット

プログラミングのことについて、「より深く学びたい」「実践的なスキルを身につけたい」場合、プログラミング教室の活用が選択肢になります。小学生がプログラミング教室に通うことには、主に以下のメリットが挙げられます。
論理的思考力が身につく
プログラミングとは、自分の目標のために「どのような指示を」「どのような順序で」組み合わせるかを考える作業です。この過程で、物事を順序立てて考え、効率的な手順を見つけ出す論理的思考力が自然と養われます。

小学校の「プログラミング教育」でも主に論理的思考力を身につけることを目標にしています。論理的思考力は将来どんな職業につくにしても重要な能力と思われているということです。
例えば、キャラクターを思い通りに動かすためには、「前に進む」「右に曲がる」「ジャンプする」といった命令を適切に組み合わせる必要があります。
試行錯誤を繰り返しながら、どうすれば効率的に目的を達成できるかを考える経験は、日常生活や他の教科の学習においても役立つ普遍的な力となります。プログラミング教室では、プログラミングの体験を通して、専門の講師が子どもに合わせて、論理的思考を促すような課題や指導を提供してくれることを期待できます。
問題解決能力が向上する
プログラミングをやっていると、エラー(バグ)の発生はつきものです。子ども用プログラミングツールでも同様です。自分の作ったプログラムが意図した通りに動かないとき、「どこに問題があるのか」「どうすれば解決できるのか」を粘り強く考え、原因を特定し、修正していく必要があります。このデバッグと呼ばれるプロセスを通じて、問題の本質を見抜き、解決策を主体的に見つけ出す能力が育まれます。
失敗しても、試行錯誤を繰り返す経験は、困難な状況に直面したときに諦めずに乗り越えようとする力、すなわち問題解決能力の向上に繋がります。教室という環境では、仲間と協力したり、講師の先生からヒントを得たりしながら、より複雑な問題に取り組む機会も得られます。

筆者が長男にプログラミングをやらせて一番よかったところは、諦めずに問題を解決しようとする姿勢です。
実践的なプログラミングスキルがつく

プログラミング教室では、実際にプログラミングツールを操作し、コードを書いていったり、ロボットを動かしたりします。Scratchやマインクラフトといった、子供用プログラミングツールを実際に動かすスキルを身につけるには、プログラミングスクールの一番のメリットになります。
コードを論理的に組み合わせ、コンピュータに命令するプログラミングスキルはもちろんのこと、パソコンでのタイピングスキルやITリテラシーなど、今後重要になるスキルも同時に身につくのもメリットになります。
高価なプログラミング教材を使用できる

引用:KOOV公式
プログラミング教室ではScratchなどの無料プログラミングツールだけでなく、マインクラフトや、ロボット・プログラミングなどを使用する教室もあります。
例えばゲームで有名なマインクラフトは、プログラミングができるPC教育版を家庭でやろうとすると、年間2000円ほどかかります。月額にすると少額ですが、家庭で契約するとなると、「飽きたりしないか、購入して無駄になったりしないか」と不安になります。
KOOVなどのロボット教材を行おうとすると、ベーシックなものでも15000〜25000円ほどかかります。
プログラミング教室の中には、マインクラフトやロボット・プログラミングなど、家庭では契約しづらい教材を採用している場合があります。プログラミング教室で教材を用意してくれ、講師の先生が指導してくれるので、「有料の教材を買ったけどけっきょくやらなかった・・・」みたいなことは少なくなります。
有料の教材は、
- 家庭に貸与
- 月謝に含んで購入
- 教室でのみ使用可能
などプログラミング教室によって異なりますので、しっかり確認してから入会するようにしましょう。
近くに教えてもらうことができる講師がいる
プログラミング教室の大きなメリットは、学習中にお子さんがつまずいたり疑問に思ったりした時に、すぐに講師に質問できる点です。多くの教室では、講師がマンツーマン(1対1)、または少人数制で指導にあたっています。

「プログラミングは独学でも可能」という考え方もありますが、お子さんによっては一人で学習を進めるのが難しい場合もあります。
特に、保護者の方にプログラミングの知識があまりなく、お子さんが困ったときに助言できない状況だと、お子さんがプログラミングへの興味を失ってしまうこともあります。
お子さんの「学びたい」という気持ちを大切にするなら、プログラミング教室で、プロの講師から直接指導を受けることを検討しましょう。
仲間と一緒にとりくむことができる

通学型のプログラミング教室は、同じ空間に講座を受ける同年代の受講生がいます。プログラミング教室が新たなコミュニティとなることで、モチベーションを維持しやすかったり、友達が増えるというメリットがあります。
オンライン型のプログラミングスクールでも、仲間同士で発表し合う・プレゼンし合う、というカリキュラムを取り入れているスクールもあります。仲間と取り組むことで、家で一人だけで学習しているよりもモチベーションが維持しやすいというメリットがあります。
将来の可能性が広がる
現代社会においてITスキルはあらゆる分野で求められています。プログラミングスキルを身につけることは、将来の職業選択の幅を広げることに直結します。
子供用プログラミング言語はビジュアルプログラミング言語です。子ども用プログラミング言語を学んだからといって、必ずしもJavascriptやPhysonといったテキストベースのプログラミングを習得できるわけではありません。しかし、ビジュアルプログラミング言語で学んだ「プログラミング的思考」は将来テキストプログラミング言語を修得する際にも生きてきます。
プログラミングスクールでは、中学生〜高校生くらいからJavascriptやPythonなど、テキストプログラミングを学習できるコースがあるものもあります。
プログラミングスキルが将来的に期待できる職業も広がっています。ITエンジニアやプログラマーはもちろんのこと、デザイナー、企画職、研究職など、様々な分野でプログラミングの知識や経験が活かせる場面が増えてきています。
早い段階からプログラミングに触れることで、IT技術への抵抗感をなくし、新しいテクノロジーを積極的に学ぼうとする姿勢が身につくこともよいことです。新しいものに適応する柔軟性は、変化の激しい未来社会に適応していく上で、非常に重要な資質となります。
小学生がプログラミング教室に通うデメリット

プログラミング教室には多くのメリットがある一方で、通わせることを検討する際には、いくつかのデメリットや注意点も理解しておく必要があります。主なデメリットとして、以下の4点が挙げられます。
費用がかかる

プログラミング教室は、他の習い事と同様に、月謝や入会金、教材費などが発生します。
料金体系は教室によって様々ですが、一般的に月額1万円〜2万円程度が相場になっています。他の習い事と比較すると、少々高額な相場になっています。特に、ロボットプログラミングなど、専用の機材を使用するコースでは、入会金・教材費が別途必要になることがあり、初期費用が高額になる場合もあります。
家計への負担と本人の適正を考慮して、継続的に通わせることが可能かどうか、事前にしっかりと検討する必要があります。プログラミングスクールの多くは無料体験期間を設けています。無料期間中に通塾の費用対効果を見極めることが重要です。
時間的な負担がある・送迎が必要

プログラミング教室に通うためには、当然ながら時間が必要です。週に1回、もしくは2週に1回程度の教室が多いですが、授業時間だけでなく、教室への送迎時間も考慮に入れる必要があります。
現在はオンライン学習で行えるプログラミング教室があり、送迎の負担を軽減することができます。それでも授業時間をお子さんの生活時間の中に確保する必要があります。プログラミングスクールを検討する際には、保護者・お子さんの時間の負担感も考慮にいれる必要があると考えます。
子どもに合った指導法か見分けが難しい

近年、子ども向けプログラミング教室の数は急増しており、その指導内容やカリキュラム、講師の質、料金体系は多種多様です。Scratchのようなビジュアルプログラミングから始める教室、ロボットを使う教室、本格的なプログラミング言語(Pythonなど)を教える教室など、選択肢は非常に多いです。
多くのプログラミング教室の中から、子どもの年齢や興味、性格、学習目的に合った教室を見つけるのが難しいと感じる保護者の方も多いです。複数の教室の体験授業に参加したり、口コミや評判を調べたりするなど、慎重に比較検討する必要がある点に注意しましょう。
教室の雰囲気が合わないことがある

通塾型のプログラミング教室を選ぶ際、教室の雰囲気は意外と重要な要素です。講師の先生の雰囲気や、一緒に学ぶ受講生との相性は、学習のモチベーションに大きく影響します。
プログラミングの習得が主な目的であるとはいえ、教室は一つのコミュニティです。良好な人間関係は、学習をより快適で実りあるものにしてくれます。
プログラミングスクールへの入会を検討する際には、人間関係における不安がないか、以下の点を特に事前に確認することをおすすめします。
- 先生に質問しやすい雰囲気か
- 同じ受講生とは仲良くできそうか
- 教材・教え方は子どもに合っているか
デメリットは事前に対策できる
上記に挙げたプログラミング教室のデメリットは、プログラミング教室に通うこと自体が悪いということではなく、事前に理解し、対策を講じることで、その影響を最小限に抑えることが可能です。
費用や時間、そして教室選びといった課題に対して、各家庭の状況に合わせて最適なバランスを見つけ、プログラミングスクールの入会を検討するとよいです。
まとめ
現代社会において、プログラミングスキルやITリテラシーの重要性が増していることは事実です。
プログラミング教室は、論理的思考力、問題解決能力、といった基礎的な能力を育みます。プログラミング教室で実用的なスキルを身につけることが将来の可能性を広げます。
よい教材が使えること、他の受講生と空間を共有できること、先生にすぐに質問できることが実際に教室に通塾する際のメリットになります。
一方で、費用、時間的な負担、そして教室選びの難しさといったデメリットも存在します。これらの点を考慮せずに始めてしまうと、かえって子どもや家庭の負担になってしまう可能性もあります。
最終的な判断を下す際には、以下の点を考慮することが重要です。
- 子どもの興味・関心がある教室か
- 通う目的はなにか
- メリット・デメリットを比べる
- プログラミング教室のいくつか比較する
現在、プログラミング教室は、子どもたちの未来を豊かにする可能性を秘めた、重要な学び場所の一つになっています。お子さんの興味・関心、適性に合わせ、よいプログラミング学習法が選択できることを祈っています。